「信望愛主」
テーマ「アブラハムの旅立ち」
聖書 ヘブル 11章 8節、創世記 12章1〜9節
人生には節目があります。しばしば人生の方向を決定するような大きな節目があります。そのような時に神の御声を聞くことができたら幸いです。そしてそのように決断し、そのように実行できたら大きな祝福を受けるでしょう。
アブラハムはイスラエルの族長です。しかしイスラム教でもアブラハムを信仰の父と呼んでいます。また日本の天照大御神はアブラハムのことだと言われています。ノアの洪水以後に人類の新しい歴史を作った人と言うことができるでしょう。彼の名前は初めはアブラム(父)でしたが、神に選ばれ選民の契約を担うものとされたときアブラハム(高められた父、多くの国民の父)と改名されました。
アブラハムはカルデアのウル(今日のクエート🇰🇼)で生まれましたが、父テラと共にメソポタミアのハランに移住しました。高い文明を持った街から、遠い平原の牧羊者の生活になぜ移ったのか。大きな疑問があります。父テラが死んだ後、神と出会い、「新しい使命」が与えられました。
彼の故郷は、太陽神や月神を礼拝する偶像の街でした。伝説では、アブラハムは幼い頃偶像礼拝しないためにいじめられた話が残っています。ノアの大洪水から400年経ちました。ノアの息子のセムがまだ生きていたようです。清い信仰を持った少年アブラムは、大洪水を経験した人々から話を聞いて、なぜあの洪水が起こったのかという理由を知っていたのでしょう。
父テラと一族がウルを出て偶像の世界から、離れて旅に出た事は正しかったのでしょう。土地を移しても、心が変わったとは言えません。しかし今父が死んで、神はアブラハムにさらに「新しい旅」に出るように勧めています。
時に主はアブラハムに言われた、「あなたは国を出て、親族に別れ、父の家を離れ、私が示す地に行きなさい」(創世記12:
1)
この旅立ちについてヘブル人への手紙11章8節では次のように語っています。「信仰によって、アブラハムは、受け継ぐべき地に出て行けとの召しを被った時、それに従い、行く先を知らないで出て行った」。「行く先を知らないで出て行った」に彼の信仰が表れていますね。
①それは神の啓示による旅立ちでした。信仰の父が特別に感性が鋭く、才能があったからこの歴史的出発をしたのではありません。神の声を聞いたから出発したのです。
②創世記12章で神は彼に3つのことを約束しています。
a.約束の地カナンを受け継ぐこと。
b.彼の子孫が偉大になること。
c.そして彼を通してすべての国々が祝福を受けること。
しかし彼は神が示された祝福の条件を見て旅立ったのではなく、信頼する神ご自身と共に歩むことを選んだのです。
③それはまた、古い偶像礼拝の文化からの聖別であり、神の超自然的な知恵によって導かれた新しい出発であったのです。「古いものは過ぎ去った。見よすべてが新しくなったのである」(第二コリント5:
17)
長い信仰生活の中で、普通の真面目なクリスチャン生活に節目を迎えることがあります。神があなたに人生の決断を求められた時、育った環境も、親しい友も、自分の感情も、不利益と見えることも顧みず、従わねばならないことがあります。その時聖霊による導きに従うことができる人は幸いです。そこに限りない祝福があります。それは今理解できないが、後になって分かるでしょう。
それがあなたにとってのアブラハムの旅立ちなのです。
「私のしている事は今あなたにはわからないが、あとでわかるようになるだろう」。(ヨハネ13:
7)
小田 彰