【序】
2015年旧約概論は創世記から始まった。
第一は天地創造、人間創造、審判と離散、アブラハムの選びである。
第二はイスラエル民族史としての起源(ヤコブ)、出エジプト(モーセ)、カナン定着(ヨシュア)、イスラエル王国(ダビデ)、その興亡を通して、神は神がいかなるお方であるか語られた。
旧約概論の第三は不信仰に対する神の裁き、分裂、アッシリア、バビロン捕囚、ペルシャによる解放、一連のイスラエル史の中で語られた予言(預言者たちの役割)、それはイスラエル史を越えて世界史に神が語られるメッセージであった。
旧約概論を三つの段階で見るときイザヤ書の位置と使命の重さに目が開かれたなら幸いである。
イザヤ書は大別して(Ⅰ)1〜39章、(Ⅱ)40〜66章の二つに分けられる。
後者はさらに(a)40〜55章、(b)56〜66章に分け、前者を第二イザヤ、後者を第三イザヤと言う。
私が紹介してきたヘンリー・ハーレー師の聖書ハンドブックは保守的立場をとり一人のイザヤの作品であるといい、保守的福音派の神学者の中にはその立場を主張する者が多いが、私は第二第三イザヤの存在がありながら、一人のイザヤのメッセージのように語られていると考えるほうがより聖書らしいと受け止めている。
第一イザヤ(1〜39章)も初めから終わりまで全部がエルサレムのイザヤによって書かれたものでないことは知られている。
36〜39章はヒゼキヤ王時代のイザヤの予言活動を書いた一連の物語であって挿入されたものである。
また13章はバビロンに対する予言であって、イザヤよりもはるか後世のものも挿入されたと考える。
イザヤ書は旧約の他の文書と同様に編集過程を経てきたものであり、イザヤ予言を中心に加筆、編集が反復されて現存の形態をとるようになったと考えることが自然であると思う。
◎イザヤ書研究のためのテーマについて、それぞれで研究せよ。
1.人物預言者イザヤ
2.歴史的背景
3.予言の目的と目的を越える領域について
4.イザヤの神学
5.イザヤ殉教説
6.死海写本
7.イザヤ書の名言明句
8.第二イザヤという人
9.第三イザヤという人
10.新約聖書に見るイザヤ書引用と共通表現
それぞれが大きなテーマであり、時間を要するが、2016年を通して研究していきたいと思います。
この旧約の視点から新約聖書のメッセージを引き出して行くことがより健全な聖書理解につながると信じます。
*2/17インフルエンザ休講となりましたので上記の課題を予習しておいてください。
次回3月17日のアカデミーではレント(受難節)の季節でありますから、53章を中心とする神の僕の受難予言を、福音書と照らし合わせつつ学びます。
( 次回へ続く)