2019.7.18

《ライトハウスバイブルアカデミー(43)》

○2015年度(2019)修了式に当たって

2015年4月より始まったバイブルアカデミーは2019年7月まで4年間に亘り、創世記、詩篇、イザヤ書の3つの旧約聖書から始めて、パウロ書簡を中心に新約神学を扱い、福音書に至りました。少しだけ終末論も扱いました。しかしバイブルアカデミーの特徴は、親しい交わりと、現代におけるキリスト教会の課題、伝道の方策等について自由に語り合うことにありました。月に1度の学びのために本格的な神学教育とはいかないまでも、聖書との取り組みと、現実生活へのアプリケーションについて考察することができたことを感謝しています。7月をもって長期休暇とし、2020年4月より新学期を再開する運びになりました。カリキュラムについてはさらに検討を重ねてまいりたいと思います。兄弟姉妹の祈りとご協力を心から感謝いたします。またこれまでの交わりは今後ともメールなどによって保ち続け、意見交換をし、また励ましあっていきたいと思います。主が諸兄姉を聖霊によって整えてお用い下さるように願っています。

小田彰

 

 

○7月2日、沖縄の謝花牧師の問いかけに対して説教準備についての助言を皆様に送りました。

 これを最終講座とし、この内容を土台としてさらに学びを深めていきます。

☆毎週の説教を組み立てていくことが教師にとって光栄なことであるとともに、大変重労働です。

 できるだけストレスを減らし、なおかつ手を抜くことなく、信徒にも受け入れられる組み立てが必要です。

 

 

①説教スケジュールについて

本来一年分のスケジュールができたら良いのですが、それほど一度にまとめることが難しいので、1年の方針を立て、大見出しを作り、3ヶ月ぐらいごとに説教スケジュールをまとめます。1冊の本を書くようなつもりで、表題を決め、各チャプターを定め、各項目ごとに日曜礼拝の説教題とします。

 

説教者は自分の学びと並行して説教ができていきますが、今年の大きな目標をまず選択し、そこから各論のタイトルとして組み立てていく。そのような方法は結果的に説教者が土曜日になって内容について白紙から考えるようなことのないストレス軽減ができると思います。そこで自分の学びとして意味があり、なおかつ信徒のために神の恵みと、霊的成長に役に立つ方針を探し求めることが大事です。

 

これはロンドンのオールソールズ教会で学んだことです。

 

②聖書注解書について

英国から帰ってまもなくの頃は、一巻ものの英語のコンメンタリーを使っていましたが、次第に英語を読むのが鬱陶しくなり、現在は、日本キリスト教団出版局の新約聖書略解、旧約聖書略解を使っています。戦後まもなく編纂されたものですが、優れた神学者たちの力作です。その日のメッセージテキストの分量にふさわしく読む量も手頃です。私の週報のように部分印刷するには全てを入れることができませんが、大事な部分を提供することも可能です。また小学生の時から読んでいたヘンリーハーレーの聖書ハンドブックは今も役に立っています。しかしこれらのサイドブックは、その中から当日のメッセージを引き出すための道具に過ぎません。またある言葉を味わおうとすると、ギリシャ語辞典や、聖書辞典などが必要になります。私はギリシャ語を充分使いこなせませんので、ビンセントのギリシャ語語句解説辞典をしばしば用いています。

 

③その他の文献について

キリスト教説教例話集というのがあります。これは時々見ていると短い適切な例話が見つかります。同様に英語の例話辞典が何冊かあります。これは賛美歌作者のことから、宗教改革者、聖書翻訳者に至るまで様々な物語が短く書かれています。また一般の名言集、格言集なども時々取り揃えておくと良いでしょう。

いずれにせよその日のテーマに合った例話を見つけるのには数時間はかかるでしょう。

信仰入門書や、個人の証、キリスト教関係の一般的物語は読んで楽しいけれど説教にはすぐに使えないことが多いので気をつけます。荒野の泉は信仰についてよく教えてくれます。また聖句と関連物語の結びつけ方を学ぶのにも役に立ちます。

 

④説教原稿について

原稿をきちんと書いて話す事は大切なことではあります。しかし、原稿を書いた日が木曜日で、日曜日に説教すると、ずいぶんフィーリングが変わってしまう場合があります。原稿を書き上げることにあまりとらわれず、日曜日の朝にできていれば良いと言う感じでたっぷりと資料を頭脳と心の中に蓄えます。説教時間と言うものがありますから、その時間の中で内容を組み立てていくスピードが必要です。エンディングの言葉、物語、あるいは自らの証は必要です。自分の体験を中心に説教展開すると行き詰まってしまいますから、自分の体験は少しだけ小出しにして紹介します。しかしエンディングの言葉は大切です。それが最後の祈りに導きます。

 

⑤祈りについて

このような準備を進める中で、行き詰まりながら祈り、また書き続けながら祈り、また説教直前に充分に心を沈めて祈ります。祈りだけで全てを進めようと言う考えは危機に陥ったときにはしなければなりませんが、毎週の礼拝説教のためには危険な方法です。

 

⑥説教法については改めて別の機会にお話しします。組み立て方の問題。話し方の問題。表現方法の問題。体を動かすアクションの問題。発声法の問題。聴衆の霊的状況を見分ける問題。

これらの技法は説教の力をさらに増し、より深い影響力を持つためには必要です。

 

これらのアドバイスがお役に立てますようにと祈っています。

小 田  彰

広島への新幹線の中で。