「信望愛主」
テーマ「ラハブの信仰」
聖書 へブル 11章30〜31節、ヨシュア記 2章1〜21、6章12〜21節
「信仰によって、エリコの城壁は、7日にわたって回ったために、崩れ落ちた。信仰によって、遊女ラハブは、探りに来た者たちを穏やかに迎えたので、不従順な者どもと一緒に滅びる事はなかった。」(ヘブル11: 30、31)
出エジプトから40年、ついにヨルダン川を渡り約束の地に入って最初の敵、エリコの城の戦いは最も劇的な事件であり、ヨシュア記6章に克明に記されていますが、ヘブル人への手紙の記者はその勝利の原因について①信仰によって7日の間周囲を回ったこととともに② 2人の斥候をかくまったラハブと言う女性を挙げています。
堅固なエリコの城は、1人の女性ラハブの信仰によって亀裂が入り、滅びたのです。ラハブは、エリコの神殿に仕える遊女でした(ヨシュア記2: 1)。当時の宗教行事の中で遊女たちは重要な役割を果たす神官でした。また彼女はそれによって一家の生計を支えていました。
ヨシュアは、2人の斥候を密かにエリコの城を探索するために派遣しました。「彼らは行って、名をラハブと言う遊女の家に入り、そこに泊まった」(ヨシュア記2:1)と書かれています。エリコの城の遺跡は今日発掘されています。城の広さは3ヘクタール、二重の城壁に囲まれ、外壁は厚さ2メートル、内壁は厚さ4メートル、外と内との間は5メートル、高さ10メートルと言う巨大な城壁でした。そしてラハブとその家族は外壁と内壁との間に板を渡しその上に家を建てて住んでいたようです。ですから2人の斥候は、壁をよじ上りその家に入ったのです。しかし争うことなく、信仰あるラハブは彼らを受け入れました。
「信仰とはまだ見ていない事実を確認することである」(ヘブル11: 1)
○ラハブの信仰
①先見性でした。
イスラエル民族がエジプトを脱出し、紅海を2つに分けて渡り、ついにヨルダン川をも渡り、エリコに近づいていることを知りました。偶像に仕える遊女でしたが、この大いなる御業をなす神が真の神であることを知っていたのです。
「あなた方の神、主は上の天にも、下の地にも、神でいらせられるからです。」(ヨシュア記2:11)これは率直な信仰告白でした。
②命がけの協力。
2人の斥候を自宅にかくまい、兵隊達の追求をかわし、エリコ総攻撃の際には自分と自分の家族を救ってくれるように約束させました。総攻撃の日には、家の外側、城壁に赤い布を下げておくようにと言われ、それを見てイスラエルの軍隊はラハブと認め一族を救ったのです。まさに赤い布は、後のイエス・キリストの十字架の血潮を意味しているかのようです。
③このラハブが後に、ボアズの母となり、イエスキリストの系図に載る5人の女性の1人となったのです。(マタイによる福音書1章系図参照)神のご計画はなんと不思議なことでしょうか。
この出来事は、異邦人であっても、異なる宗教の中に育ったものであっても、あるいは敵対する民族であっても、生ける真の神、主に目が開かれた時、それを信じ受け入れ、口に告白し、その信仰を貫く時、一切の罪は許され、神の祝福と栄光の中に入れられるという真理を語っています。
ですからパウロは告白によって救われると言うメッセージを伝えています。
「なぜなら人は心に信じて義とされ、口で告白して救われるからである。」(ローマ10: 10)
毎日のニュースにおいても、周囲に起こる出来事においても、実に多くの問題や課題が押し寄せてくる時、何が真理であるかをしっかり見出す「先見性」「洞察力」を身に付けることによって神の祝福を受けるものとならせていただきたいと思います。
小田 彰