「信望愛主」
テーマ「死者達をよみがえらせ」
聖書 へブル 11章35〜38節、列王上 17章17〜24節
ヘブル人への手紙第11章にこんなにたくさんの旧約聖書の人物伝が書かれていることに気づかなかった方も多いと思います。今日はエリヤがザレパテの寡婦女の息子をよみがえらせた記事を取り上げます。
「女たちは、その死者たちをよみがえらせてもらった。」(ヘブル11:35)
この女たちが誰であったかという事は明示されていません。しかし列王上17章のエリヤの祈りの奇跡がその中に入る事は確かです。
エリヤは、BC9世紀の北王国イスラエルの王アハブの罪を責めるために送られた預言者です。国王に直々に意見を述べることができる有力な人物でした。しかし命がけの戦いの前には、信仰の特別訓練を受ける必要がありました。王妃イゼベルの追手を逃れ3年半身を隠しました。
①ケリテ川のほとりで草むらの中に6ヶ月隠れました。(17:1〜7) こんなところで自分が生き延びられるかというテストでした。しかし毎日カラスが食べ物を運んできたと言うのです。
②ザレパテの村で会った寡婦女の家に住み込みました。(17:8〜16) 最後の食物を食べて死のうとしているような貧しい、無名の親子でした。宮廷の中で国家を動かすほどの力があった預言者が、全くみすぼらしい寡婦の家の住人となったのです。
「主が雨を地のおもてに降らす日まで、瓶の粉は尽きず、びんの油は絶えない」(17:14)との神の御言葉の約束は3年間実現したのです。
ここでは、何も持たないでこの親子を支え続けることができるかというテストでした。
③ 3年半の月日が流れ、いよいよ次のステップに進もうとする時、男の子が病のために死んでしまいました。その婦人からは「神の人よ、あなたは私に何の恨みがあるのですか」などと言われました。エリヤの祈りが「死者をよみがえらせる力があるか」という最大のテストでした。
彼はその子を取り、屋上の自分の部屋に横たえ、その子の上に三度身を伸ばし、「わが神、主よ、この子供の魂をもとに帰らせてください」(17:21)と祈りました。主は、祈りに答えて、この子を生き帰らせてくださいました。
エリヤにとってこの3年半は、何も持たず、ただ1人祈りによって生き、養い、死者をもよみがえらせるという信仰の訓練の時でした。そして第18章で、アハブ王の前に立ち、カルメル山上の祈りの奇跡的勝利を見ることになります。
○信仰は「祈りの力」でその真価が試されます。また神は信徒が祈り求めることを喜ばれるのです。小さな奇跡が大きな奇跡を生むことを忘れてはなりません。日々の些細な出来事の中に、神の奇跡を見るとき、人生の大きな山坂において確信を持って祈ることができます。
*私は英国の留学を終えて日本に帰る前、30歳の時、壁に貼った日本地図に体を擦り付けて、「神様どこで、どのような働きをしたら良いのでしょうか。この日本列島にどのように福音を伝えたら良いのでしょうか」とエリヤが子供の上に身を三度伸ばしたことを思いながら祈ったものです。
預言者エリヤについて新約聖書には30回記述があります。彼の「祈りの人」としての生き様が、イエスの言葉にも、パウロの言葉にも、そしてヤコブの言葉にも取り上げられています。
「義人の祈りは、大いに力があり、効果のあるものである。エリヤは、私たちと同じ人間であったが、雨が降らないようにと祈りを捧げたところ、3年6ヶ月の間、地上に雨が降らなかった。」(ヤコブ5:16.17)
短歌を一句
瓶の粉
びんの油は
尽きないで
今日も祈りは
生きている
あなたの祈りがあなたの人生と、あなたの周りの人々とを生かすことになるのです。ですから祈りましょう。
神様の祝福が豊かにありますようにお祈りいたします。
小田 彰