「その星を見て」(マタイ 2:1〜15、民数記 24:12〜19)
マタイによる福音書の天使は、夢の中でヨセフに現れました。
ルカによる福音書の天使ガブリエルは直接マリアに現れました。
東方の博士たちは、不思議な星によって世界の救い主の到来を知りました。
今日私たちは聖霊と聖書の御言葉によって神の御心を知ることができます。
東方の博士たちが見た星について、今日は考察してみましょう。
「ユダヤ人の王としてお生まれになった方はどこにおられますか。
私たちは東の方でその星を見たので、その方を拝みに来ました。」(マタイ2:2)と博士たちは、エルサレムのヘロデ王に尋ねました。
当時ヘロデ王はローマ皇帝からシリア地方の支配を委託されていました。
東方とは、多分、現在のトルコ、当時のペルシャではないかと思われます。
占星学は、まだ今日で言う科学的な天文学ではなかったと思われます。
しかし、単なる星占いでもなかったでしょう。
バビロン捕囚の後支配したペルシャには、多くのユダヤの知的青年たちが移住していたと思われます。
それらの人々が星を研究していたのではないかと想像されるのです。
ヘロデ王が彼らの質問に答えることができず、またエルサレムの学者たちも占星学の知識がなく、途方に暮れていた様子が想像されます。
「キリストはどこに生まれるのかと、彼らに問いただした」(マタイ2:4)結果、「それはユダヤのベツレヘムです」と示されたのです。
(ミカ書5:2)
さて、この星がなんであったかということがわかったならば、今日プラネタリウムを逆回転させて、約2000年前の天体の動きを再現することができるわけですから、時代を正確に読み取ることができますね。
1603年12月17日、数学者ケプラーはモルダウの屋上から星を見ていた時に、土星と木星が重なる(相合)の光景を発見し、もしかしたらキリスト誕生の時の不思議な星ではないかと計算をしたと言われています。
1925年にドイツの学者シュナーベルは、新バビロニア時代にシッパルにあった占星学の学校の楔形文字の「日報」を解読しました。
そこには、紀元前7年に木星と土星が相合した記録があったのです。
私は古代の文字を読み取る力もありませんし、また天文学についても十分な知識がありませんから、これらの情報は「歴史としての聖書」(ウェルネルケラー著 山本七平訳)から約50年前にいただきました。
占星学者には、木星は幸運の星あるいは偉大な星、土星はパレスチナの星とされ、相合が起こった魚座はユダヤの伝説ではメシヤの象徴でした。
また魚座は新しい時代の始まりを意味していました。
東方の博士たちが、これらの知識を総合して、パレスチナのユダヤからメシヤが誕生したと断定したとしても不思議はありません。
これらの事は、ケプラーやシュナーベルの学説から想像できることでありますが、直接聖書が語っていることではありません。
しかし、今日プラネタリウムを逆回転して紀元前7年に戻しますと、5月と10月と12月に土星と木星の相合があったことがわかっています。
今日、クリスマス礼拝を迎えるにあたって、イエス・キリストの誕生が明らかに、歴史的事実であったことを、東方の博士たちの言葉によって証明していただけると思います。
イエス・キリストの降誕は
①歴史的事実であった。
②世界のすべての人々にとって希望であり喜びである。
③飼葉桶の中に寝かされたイエスを礼拝する時、いかなる罪人の心の中にも救い主が宿ることを意味しています。
④そして、私たちがイエス・キリストを心に受け入れ、罪を悔い改め、新しく生まれ変わったとき、それは私たちの歴史的事実としてのクリスマスとなります。
その意味において、本当のクリスマスが来ますように祈ります。
心からメリークリスマスと申し上げます。
小田 彰