「実現に至らせる神」(ピリピ 2章12〜13節、マタイ 6章25〜34節)
聖書の信仰に立つ人は、誰でも、神が心の中に語りかけ、導き、キリストに出会わせ、罪を示して悔い改めさせ、救いの喜びを表現するために福音を伝えるわざに従事させてくださることを知っています。大伝道者パウロは、福音を全世界に伝えた人ですが、そのわざが自分の力ではなく、神の働きであったことを強く告白しています。
「愛する者たちよ。一層従順でいて、恐れおののいて、自分の救いの達成に努めなさい。あなた方のうちに働きかけて、その願いを起こさせ、かつ実現に至らせるのは神であって、それは神のよしとされるところだからである。」(ピリピ2:12、13)
①「自分の救いの達成に努めなさい」とは強いメッセージですね。ビリピ教会は良いところがたくさんありましたが、中に分派闘争や虚栄心から来る揉め事があったようです。クリスチャンではありますが、まだ古い性質が残っていて、キリストの体である教会を汚している場合があります。聖書は今ある信仰のレベルから、さらにレベルアップしてキリストの体である教会にふさわしく整えられなさいと語っています。もちろんそれは努力ですることではなく、「従順」と「恐れ」を持って祈り求めて欲しいと言っているのです。
② 13節は、「神の内なる働きかけ」について細かく語っています。
それは、聖霊による動機付けであり、主のために働きたいと言う願望が与えられ、いかなる困難も乗り越えながら実現に向かう神と共に働く恵です。
あなたが何か主のためにしなければならないと言う「聖なる願望」が与えられたならば、それはまた完成まで導かれることでしょう。
この働きかけについて、英語の聖書はwork という言葉をたびたび用いています。For it is God who works in you both to will and to do of his good pleasure.心の動機に語りかけてくださるばかりでなくて、神様のための良いわざをするその働きにも共にいてくださるのです。
「神は神を愛する者たち、すなわち、ご計画に従って召された者たちと、共に働いて、万事を益となるようにしてくださることを、私たちは知っている。」(ローマ8:28)
パウロは、ローマ人への手紙においても、神がご計画に従って御業を成してくださるという確信を述べています。Working together for good.
さて、「摂理(Providence)」という言葉があります。やがて起こることを神があらかじめ見通しておられ、さらに決定しておられるということです。それは神がただ見抜き、知り抜いておられるというだけではなく、慈しみのある深い配慮を持って、全てに備えておられるということです。
神の摂理に導かれて生きることが、まさに私たちの信仰の生き方です。
今年9月23日に喜びの歌を共に大阪集会がニュージーランド大阪教会で開かれることになっています。先日お伺いして打ち合わせをして参りましたが、現在牧師である高田義三先生は60年ほど前に、大学が終わって世界を見たいと願い、貨物船に乗って旅に出ました。最初の寄港地であるニュージーランドで、クリスチャンの人々に出会い、イエス・キリストを救い主として受け入れ、新しく生まれ変わり信仰のスタートを切りました。「世界を見たいと思ったが、世界の造り主である神様に出会ったので、もう旅はしなくても良い」と考え、ニュージーランドで聖書を学び、逆に大阪に宣教師として戻ってこられました。それから60年経ちますが、素晴らしいお働きを展開しておられます。神が彼の心の内に働きかけてくださり、福音を日本に伝えるために整えて、送り返し、今日まであらゆる困難を乗り越えさせてくださったのです。
今週も神の摂理の御手の中で歩まれますようにお祈りいたします。
小田 彰